『騒がし乙女風邪を引く 唯湖おねーさんのあ・ぶ・な・い看護記録』


「う”う”〜、頭痛い〜、悪寒がする〜」

ベッドでうんうん唸りながら寝込んでいるのは三枝葉留佳。
「お姉ちゃんももうちょっとユーモアとかお茶目を理解すべきなのですヨ。ちょっと水鉄砲を顔射した位で学校中追い掛け回すなんてぇ〜。しかもストレルカまで呼び出すなんて反則だ〜。体当たり喰らってしかも池のドボーンなんてどんなコントだってんだーい。げほげほ」

その後佳奈多に捕まって1時間程ずぶ濡れでお説教されたのが決定打となり風邪を引いてしまったのである。

「風邪が治ったらもっとすんごい事してやるんだからぁ〜。 げほがほ」

三枝葉留佳。彼女の辞書に「自業自得」「因果応報」「反省」「懲りる」という言葉は多分載って無い。

「せっかくの休日なのについてなーい。ルームメイトの子達(葉留佳の部屋は三人部屋)は朝から出てて今日は帰らないって言うし、はるちんさみしー! 」
「やれやれ、風邪を引いても騒がしいな君は」
「へっ? あ、姉御」

ビニール袋を手に持ち、呆れ顔をしながらドアを開けて入ってきたのは来ヶ谷唯湖。

「どうしてここに?」
「それは勿論君の看病に来たんだが? 寮長から君が風邪を引いたと聞いたんでな」
「ドッキリとかそういうんじゃ無いですよね?」
「なんだ、私が誰かの看病をするなんて天変地異の前触れかとでも言いたそうだな? 看病が要らないなら帰るぞ」
「あー、嘘です嘘ですっ! 姉御に看病して貰えるなんて身に余る光栄なので気が動転しちゃっただけなんですぅ〜。お願い帰らないでぇ〜」

本気で帰ろうとした唯湖を必死で引き止める葉留佳であった。


唯湖は葉留佳に氷枕を作り、タオルを取替え、といった一連の行動をてきぱきとそつなくこなしていく。 

「38度8分か、かなり高いな」

そう言いながら体温計を確認する唯湖。

「そうだったんですか、寒いようでなんか熱い感じはしてたんですけど」
「これは早急に対策をしなければますます悪くなるな、そこでだ葉留佳君、座薬とネギどっちが良い?」
「へっ!?」
「手っ取り早く解熱するには、この二つが非常に有効だからな」

そう言うと胸元から座薬を、持ってきたビニール袋からはネギを取り出す唯湖。

「姉御、座薬はともかくなんでネギなんて持って来てるんデスカーーーーーーーー!?」
「あぁこれは君の昼食用に作るお粥の薬味用に持ってきたんだが、そんなに熱が高いのならお尻に入れるのも良いかと思ってな。これも立派な民間療法だぞ?」
「いや姉御そんなアブノーマルなネタは勘弁してくださいヨ。ネギは普通に食べるだけで結構ですーーーーっ」
「そうか、ならば葉留佳君には座薬を処方しよう。これは君の熱を下げるためであって、断じて下心は無い、はぁはぁ」
「そんな恍惚とした顔で言われても説得力無いですってばー。姉御後生だから飲み薬で勘弁してぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ」
「ええい五月蝿い黙れこのファッキンガール、大人しくしないと両方尻穴にぶち込むぞ」
「ふえええええええええええええええん」
「それで、どうするかね?」
「ざ、座薬でお願いします・・・」
「了解した、安心しろ、おねーさんに万事任せておけば良い」
「ひ〜んはるちん不幸だぁぁぁぁぁぁぁ」

脅迫まがいの手段で許可を得た唯湖は葉留佳のパジャマのズボンと下着を下げ、お尻をあらわにする。

「うむ、桃のように可愛いお尻だ。思わず食べてしまいたくなるな」
「うぅっ、恥かしいよう」
「一緒にお風呂にも入って全てを見せ合った仲じゃないか、そんなに恥かしがらなくても良いだろう?」
「恥かしさのレベルが違いますってぇ。 お願いですから優しく、そして早く終わらせてぇ〜」
「こらこらそんな潤んだ瞳で見詰められたら本当に食べたくなるじゃないか? まぁお望みどおり速やかに終わらせてやろう、それっ」

そう言いながら唯湖は葉留佳のお尻に座薬を挿入した。

「アッーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」

三枝葉留佳は後に『女の子として何か大切な物を無くした気がする』と涙ながらに姉の佳奈多に語り、流石の佳奈多も怒る事も忘れて慰めたそうである。


「しくしくしくしく。うぅ、なんで私はこんな目に」
「よしよし、良く頑張ったな偉いぞ葉留佳君」

枕に顔を埋めてしくしくと嘆く葉留佳の頭を優しく撫でる唯湖。

「うぅ〜もうお嫁に行けないよぅ〜」
「こらこら、これ位の事でくじけていたら、将来惚れた男に裸を見せるなんて夢のまた夢だぞ?」 
「だってぇだってぇ〜。それじゃあ姉御は平気なんですか? 他人にお尻見られても」
「これが男相手なら断固拒否するだろうが、葉留佳君のような美少女なら吝かでもないな」
「じゃあ姉御が高熱出したら、私が絶対やらせてもらいますからね?」
「あぁ、覚えておこう。 まぁ、本当にお嫁に行けなくなってしまったら責任取って私が貰ってやるさ」
「それはちょっと嬉しいかも」

ちなみに、復讐に燃える葉留佳ではあったが、唯湖は在学中一度も風邪を引かず結局雪辱は果たせなかった事をここに記す、合掌。


それから他愛の無いおしゃべりをしながら時を過ごしていると、葉留佳のお腹がく〜と鳴った。

「やはは、朝から何も食べてなかったから流石におなかがすいちゃいましたネ」
「ふむ、ならばちょっと待っていろ、昼食を作ってきてやる」

恥かしそうに笑う葉留佳にそう言って、唯湖は部屋を出て行った。
それから暫く待っていると、小さな土鍋を持って戻って来た。

「おねーさん特製卵粥だ。これを食べて早く元気になれ。ほれ、餌をねだる雛鳥の如くあ〜んするが良い」

そう言いながら匙にすくった粥をふーふーと冷ましながら葉留佳の口元に持っていく唯湖。

「あ〜ん」

葉留佳も素直に口を開けて食べさせて貰う。

「ん、美味しいっすよ。 姉御って本当に何でも出来るんですねぇ」
「そうか、あまり料理はした事ないからちょっと不安だったが、喜んで貰えて何よりだ」

喜ぶ葉留佳に微笑む唯湖だったが、急に真剣な顔になる。

「だが、やはり残念だ」
「ほえ? 何がですか姉御」
「このネギを葉留佳君のお尻に突っ込めなかった事さ」

卵粥の薬味として入っていたネギを見て心底残念そうに言う唯湖。

「ぶっ!? いやもう本当勘弁してくださいヨ」
「はっはっは」


それからまた暫く時間が過ぎて。

「さて、葉留佳君汗をかいているだろうから体を拭いてあげよう」
「もう変な事はしないで下さいヨ?」
「大丈夫だ、手が滑ったと偶然を装って胸を揉みしだくくらいさ」
「いや、それをやめて欲しいんですけど」
「そうか、ならば堂々と揉みしだかせてもらおう。それくらいの役得は認めてくれても良いだろう?」
「・・・もう好きにしてください」
「すまない、少しからかい過ぎた。お詫びにぴかぴかになるまで磨き上げてやろう」
「いや、銅像じゃ無いんですからその表現はちょっと」

本気で拗ねだした葉留佳に、流石の唯湖も罪悪感を感じたのか、その後は真面目にかつ丁寧に体を拭き始めた。

「うむ、葉留佳君の体は綺麗だな。肌もすべすべだし、胸や腰周り、お尻のバランスも良い」
「いや〜チートレベルのナイスバディな姉御にそう言われてもすっごい複雑なんですけど?」
「何を卑下する事がある? 大きさだけが魅力を語るものでは無いだろう。 第一いくらナイスバディと言えど皆が同じ体型じゃつまらんじゃないか」
「そりゃまぁそうかも知れないですけど」
「大きいのも小さいのも千差万別有るからこそ楽しいんだ。クドリャフカ君にもいい加減自分の魅力というものを自覚し、理解して欲しいのだがな」
「クド公はつるぺたすとんな体型気にしてますもんね〜」
「うむ、実に勿体無い話だ。今の時代貧乳もステータスだと言うのに」

その頃クドリャフカと佳奈多の部屋。

「くしゅんっ」
「クドリャフカ、もしかしてもう風邪がうつっちゃったかしら?」
「いえ、大丈夫ですよ佳奈多さん。どなたかが私の事を噂してるのかもしれません」
「だと良いけどね、とりあえず用心はしなさいよ?」
「はいです」

そしてまた葉留佳の部屋。

「夜も更けてきたな。まだ早いかもしれないがもう休むと良い」
「う〜ん大分元気になったとは思うんですけど、姉御がそう言うなら寝ますね」
「うむ、素直な葉留佳君は好きだぞ。と言う訳で」

言うなり、葉留佳のベッドに潜り込んでくる唯湖。

「あ、姉御なんのおつもりで?」
「あぁ、気にするな単なる添い寝だ。今日はルームメイトも帰って来ないのだろう? だからついててやろうと思ってな」
「風邪、うつっちゃいますヨ?」
「何、そんなヤワな鍛え方はしてないさ。なんなら口移しで風邪をうつしてくれても構わないぞ? その際はディープキスを希望する」
「そ、それは遠慮しときます。でも、ありがと姉御」
「気にする必要は無い、可愛い女の子の添い寝など滅多に出来るものでも無いからな。まぁ私の事は抱き枕とでも思うが良い」
「じゃあ、お言葉に甘えますネ」

そう言って葉留佳は唯湖に抱き付き、唯湖も葉留佳を優しく抱き返した。


「姉御はやっぱり凄いですネ」
「どうした唐突に?」
「今日看病してくれた時もてきぱきとこなしてたし、いつも颯爽としてカッコイイし、女として憧れちゃいますヨ」
「こらこら、褒めても何にも出ないぞ?」

唯湖に抱き締められた体勢で葉留佳はそう語る。

「私は姉御に始めて会った時からずっと助けられっ放しですしネ。姉御は私の憧れなんですヨ?」
「私を見習ってもロクな人間にならんと思うがな?」
「そんな事無いですヨ、姉御って冷たいようで優しいですもん。そりゃあ悪戯するわセクハラするわで困る時も有りますけど」
「今日は随分語るな君は」
「姉御に優しく抱き締められて、すっごく安心してるからかな? 私のお姉ちゃんは佳奈多一人ですけど、姉御も私にとって大切な人なんですヨ」
「むぅ・・・」
「あれ? もしかして姉御照れてます? 顔赤いですけど」
「やかましい、おねーさんをからかう生意気な葉留佳君はおっぱいホールドの刑に処す」
「わっぷ、ぎぶっ、ぎぶっ! あ、姉御のおっぱいだと窒息死が洒落になりませんって」
「ふんだ」
「ぷはっ、死ぬかと思った」
「おねーさんをからかうのは100年早い」
「でも感謝してるのは本当なんですヨ?」
「分かった、分かった、だが、まだ君は病人なんだからさっさと寝ろ」
「はぁ〜い、おやすみなさい姉御」
「ああ、おやすみ」

照れ臭いので話を無理矢理切り上げる唯湖。 それから間もなく、す〜す〜と寝息を立てて葉留佳は眠りにつく。

(リトルバスターズの皆と出会うまで、人間的に欠陥が有るこんな私を慕ってくれたのは君だけだったんだぞ。言葉にはしてやらんが私も感謝しているんだ、元気になったら二人でデートにでも行こう? まあ、今日はゆっくり休んで養生すると良い)

そう思いながら優しく葉留佳を抱き締めつつ優しい笑顔を浮かべる唯湖の姿は正に聖母のそれであった。


それから次の休日

「姉御姉御〜。ほらほら早く行きましょうよ〜」
「こらこら、そんなに引っ張るな。喫茶店は逃げはしないぞ?」
「姉御とのデートの時間は逃げちゃいますからネ、タイム・イズ・マネーなのですヨ」
「やれやれ」

腕を組んではしゃぐ葉留佳と引っ張られて苦笑する唯湖の姿があった。

「姉御、これからもよろしく」
「こちらこそな、葉留佳君」

  

<了>

  


面白かったらぜひっ

あとがき
お待たせしました、佳奈多とクドリャフカ編の裏側とも言える葉留佳と唯湖編完成しました。かなり趣味入っちゃって真にサーセン。
俺は唯湖はもちろんはるちんも好きなんですが、彼女は弄られてこそ映えるなぁと思ってどうしてもこんな目に、ごめんねはるちん。
個人的にこの二人の組み合わせも大好きなので今回書こうと思いました。
まぁかなりお馬鹿な内容ではありますが、楽しんでいただければ幸いであります。それではまた次回作にて。

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